酔古堂剣掃 / 集素・色は冰蠶の錦に冷やかなり
馥噴五木之香,色冷冰蠶之錦。
書き下し
馥は五木の香を噴き、色は冰蠶の錦に冷やかなり。
現代語訳
香りは五木の香を吹き出すように芳しく、色は氷蚕の錦のように冷たく澄んでいます。
解説
何かの香りと色合いの見事さを、珍しい物にたとえてたたえた対句です。何をたたえたのかは句の中に示されていませんが、集素の流れからは、茶や花、あるいは清らかな住まいの調度などが思い浮かびます。五木の香は、香木の名とも五種の香木とも言われる、よい香りの代表です。氷蚕は、晋の王嘉の『拾遺記』に見える伝説の蚕で、霜雪に覆われた山に住み、その糸で織った錦は水にも火にも損なわれないとされます。珍しく清らかなものを二つ重ねることで、この世離れした気品を表しています。五感で美を味わう文人の細やかな感覚は、日々の暮らしを丁寧に味わうことを思い出させます。
この章句が説くこと
風雅香り色清雅美
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