酔古堂剣掃 / 集景・悠揚たる綠柳
悠揚綠柳,訝合浦之同歸;燎繞青霄,環五星之一氣。
新字:悠揚緑柳,訝合浦之同帰;燎繞青霄,環五星之一気。
書き下し
悠揚たる綠柳、合浦の同じく歸るかと訝り、燎繞たる青霄、五星の一氣を環らす。
現代語訳
ゆったりと揺れる緑の柳は、合浦の真珠がそろって戻ってきたのかと思わせるほどです。立ちのぼる煙がめぐる青い空は、五つの星を一つの気で取り巻いています。
解説
柳と空の景色を、故事と天文を用いて華やかに飾った、駢文風の一則です。悠揚は、ゆったりと揺れ動くさまです。合浦は、後漢の孟嘗が太守となって悪政を改めると、よそへ移っていた真珠が合浦に戻ってきたという故事で知られる地名で、よいものが元の場所に戻ることの喩えになっています。燎繞は、煙や炎が立ちのぼってまつわりつくさまで、青霄は青い空です。五星は木火土金水の五つの惑星で、それが一つに集まることは太平の瑞兆とされました。句の意味には取りにくいところがありますが、春の柳の輝きと、空にたなびく気とを、めでたい故事に重ねて讃えたものと読めます。言葉の響きと華やかさを味わう一則です。
この章句が説くこと
風雅自然故事駢文瑞祥
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