酔古堂剣掃 / 集景・路は杏花の酒舍に接す
曲徑煙深,路接杏花酒舍;澄江日落,門通楊柳漁家。
新字:曲径煙深,路接杏花酒舎;澄江日落,門通楊柳漁家。
書き下し
曲徑煙深く、路は杏花の酒舍に接す。 澄江日落ちて、門は楊柳の漁家に通ず。
現代語訳
曲がりくねった小道はもやが深く立ちこめ、その道は杏の花咲く酒屋へと続いています。澄んだ川に日が落ちて、門は柳の茂る漁師の家に通じています。
解説
春の村の道と夕暮れの川辺を、対句で描いた一則です。杏花の酒舍は、唐の杜牧の清明の詩に、牧童が遥かに指さす杏花村とあるのを思わせる、春の酒屋の象徴です。前の句では、もやの中の曲がった道を進むと、杏の花の咲く酒屋に行き当たります。後の句では、澄んだ川に日が沈み、柳に囲まれた漁師の家へ門が開いています。煙深と日落、杏花と楊柳という組み合わせが、時間と色彩の移ろいを感じさせます。道の先に何があるのか分からないまま歩き、思いがけず小さな店や家に行き当たる楽しみは、知らない町を散策するときの醍醐味でもあります。
この章句が説くこと
自然風雅田園春散策
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