酔古堂剣掃 / 集景・松子我が衣裾に落つ
籬邊杖履送僧,花須列於巾角;石上壺觴坐客,松子落我衣裾。
新字:籬辺杖履送僧,花須列於巾角;石上壺觴坐客,松子落我衣裾。
書き下し
籬邊に杖履して僧を送れば、花須巾角に列なり、石上に壺觴して客を坐せしむれば、松子我が衣裾に落つ。
現代語訳
垣根のそばまで杖をつき履物を履いて僧を見送ると、花のしべが頭巾の角に並んでつき、石の上に酒壺と杯を置いて客を座らせると、松の実が私の衣の裾に落ちてきます。
解説
客を送り、客を迎える場面での、自然からの小さな贈り物を描いた対句です。杖履は杖と履物で、年配の人や隠者が歩く姿を表しています。前の句は、僧を垣根まで見送るときに、垣根の花のしべが頭巾の角に並んでくっついていたという場面です。後の句の壺觴は酒壺と杯で、石の上で客と酒を酌み交わしていると、松の実が衣の裾にぽとりと落ちてくるという場面です。どちらも、人と人との交わりの中に、自然がそっと加わってくる様子を描いています。自分では気づかないうちに花のしべがつき、松の実が落ちてくるというささやかな出来事に、自然の中で暮らす喜びがにじんでいます。
この章句が説くこと
交友自然風雅隠逸仏教
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