酔古堂剣掃 / 集景・松端より月を看る
抱影寒窗,霜夜不寐,徘徊松竹下。四山月白露墜,冰柯相與,詠李白《靜夜思》,便覺冷然寒風。就寢復坐蒲團,從松端看月,煮茗佐談,竟此夜樂。
新字:抱影寒窗,霜夜不寐,徘徊松竹下。四山月白露墜,冰柯相与,詠李白《静夜思》,便覚冷然寒風。就寝復坐蒲団,従松端看月,煮茗佐談,竟此夜楽。
書き下し
影を寒窗に抱き、霜夜寐ねられず、松竹の下に徘徊す。 四山月白く露墜ち、冰柯相與にす、李白の靜夜思を詠ずれば、便ち冷然たる寒風を覺ゆ。 寢に就きて復た蒲團に坐し、松端より月を看、茗を煮て談を佐け、此の夜の樂しみを竟ふ。
現代語訳
寒い窓辺で自分の影を抱くようにして、霜の降りる夜に眠れず、松や竹の下を歩きまわります。四方の山は月に白く照らされ、露がしたたり、氷の張った枝が寄り添っています。李白の静夜思を口ずさむと、ひんやりとした寒い風を肌に覚えます。寝床に就いても、また座布団に座り直し、松の梢の先に月を眺め、茶を煮て語らいの友とし、この夜の楽しみを味わい尽くします。
解説
眠れない霜の夜を、月と茶で楽しみに変えていく一則です。抱影は、自分の影だけを相手にするという、孤独な様子を表す言葉です。四方の山が月に白く照らされ、氷の枝が寄り添う寒々とした景色の中で、李白の静夜思を吟じます。静夜思は、床前に月光を見て、地上の霜かと疑う、という誰もが知る五言絶句で、霜夜の月という情景がまさにこの詩と重なります。寝床に入っても眠れず、また起き出して、松の梢越しの月を眺めながら茶を煮るという、気ままな過ごし方です。眠れない夜を焦って過ごすより、いっそ起きて月を眺め、温かいお茶を飲むほうが、心は安らぐのかもしれません。
この章句が説くこと
閑適月茶孤独唐詩
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