酔古堂剣掃 / 集景・山川雲を出だす
樓臺落日,山川出雲。
新字:楼台落日,山川出雲。
書き下し
樓臺に日落ち、山川雲を出だす。
現代語訳
高殿に日が沈み、山や川から雲が湧き出します。
解説
わずか八字で、夕暮れの壮大な景色を描いた一則です。前の句は、高い建物の向こうに日が沈んでいく情景です。樓臺は高く造られた楼閣や物見台のことで、人の営みを表しています。後の句の山川雲を出だすは、日が沈むとともに山や川から雲や靄が湧き上がってくる様子です。人の造った楼台と、自然の山川とを並べ、落ちるものと湧き出るものを対にしています。山川が雲を出すという表現は、古くから天地の気が満ちるさまを表す言葉としても使われてきました。短い言葉ほど、読む人の想像に委ねる余白が大きくなります。夕暮れどきに高い所から景色を眺めると、この八字の広がりが実感できるでしょう。
この章句が説くこと
自然風雅夕暮れ山水簡潔
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