酔古堂剣掃 / 集景・星臨めば摘むべし
一徑陰開,勢隱蛇蟺之致,雲到成迷;半閣孤懸,影回縹緲之觀,星臨可摘。
新字:一径陰開,勢隠蛇蟺之致,雲到成迷;半閣孤懸,影回縹緲之観,星臨可摘。
書き下し
一徑陰に開き、勢は蛇蟺の致を隱し、雲到れば迷ひを成す。 半閣孤り懸り、影は縹緲の觀を回らし、星臨めば摘むべし。
現代語訳
一本の小道が木陰の中に開け、その道筋は蛇がうねるような曲がりくねった趣を秘めていて、雲がやって来ても迷ってしまいます。高殿の半分が崖に一つだけ宙に懸かり、その影ははるかにかすむ眺めをめぐらせ、星が近づけば手で摘み取れそうです。
解説
山中の小道と高殿を、雲と星を使った誇張で描いた対句です。蛇蟺は、蛇やみみずのようにくねくねと曲がるさまを表す言葉です。前の句では、小道が曲がりくねって奥深いので、雲さえ道に迷うと言っています。後の句の半閣孤り懸りは、崖に張り出して半ば宙に浮いたように建つ楼閣を言い、縹緲は遠くかすんで見えるさまです。星臨めば摘むべしは、唐の李白が、危楼高さ百尺、手に星辰を摘むべし、と詠んだ一節を思わせる表現です。下へは雲が迷うほど深く、上へは星に手が届くほど高い、という対比で、山中の建物の奥深さと高さが一度に伝わってきます。
この章句が説くこと
自然風雅山水建築景色
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