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酔古堂剣掃 / 集景・綠水は舟無くして更に幽なり

青山非僧不致,綠水無舟更幽;朱門有客方尊,緇衣絕糧益韻。

新字:青山非僧不致,緑水無舟更幽;朱門有客方尊,緇衣絶糧益韻。

書き下し

青山は僧に非ざれば致らず、綠水は舟無くして更に幽なり。 朱門は客有りて方に尊く、緇衣は糧を絕ちて益ます韻あり。

現代語訳

青い山は、僧がいなければその趣が極まりません。緑の水は、舟がないほうがいっそう奥ゆかしいのです。朱塗りの門の屋敷は、客があってこそ尊ばれます。墨染めの衣の僧は、食べ物が絶えるほどに、いっそう風韻が増します。

解説

山と水、富貴の家と僧侶とを対比して、それぞれにふさわしいあり方を述べた一則です。青山には寺と僧があってこそ趣が極まり、緑水にはかえって舟がないほうが静かで奥深いと言います。何かがあるほうがよいものと、ないほうがよいものとを並べているのが面白いところです。後半の朱門は朱塗りの門で、富貴な家を指し、客が多く訪れてこそ尊ばれます。一方、緇衣は黒く染めた僧の衣で、僧は食べ物にも事欠くほどの清貧の中にこそ、いっそう風韻が深まると言います。同じ物差しで何でも測るのではなく、それぞれにふさわしい満ち足り方があるという見方です。自分にとっての豊かさとは何かを考えさせられます。

この章句が説くこと

清貧自然風雅仏教価値

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