酔古堂剣掃 / 集景・信に是れ人圖畫を行く
晴雪長松,開窗獨坐,恍如身在冰壺;斜陽芳草,攜杖閑吟,信是人行圖畫。
新字:晴雪長松,開窗独坐,恍如身在冰壺;斜陽芳草,攜杖閑吟,信是人行図画。
書き下し
晴雪長松、窗を開きて獨り坐せば、恍として身冰壺に在るが如し。 斜陽芳草、杖を攜へて閑吟すれば、信に是れ人圖畫を行く。
現代語訳
晴れた雪の日、背の高い松を前に、窓を開けて一人座っていると、ぼんやりとして、まるで氷を入れた玉の壺の中にいるかのようです。夕日の差す香しい草の中を、杖をついてのんびりと詩を口ずさみながら歩けば、まさしく人が絵の中を歩いているのです。
解説
冬の雪景色と春の夕暮れを、二つの対になった場面で描いた一則です。前の句は、晴れた雪と長い松という、白と緑の冴えた景色を窓から眺める、静の場面です。冰壺は氷を入れた玉の壺で、清らかで冷たい心境の喩えとしてよく使われます。後の句は、夕日と芳草の中を杖をついて歩く、動の場面です。人が絵の中を行くというのは、美しい景色の中に身を置くと、自分自身もその絵の一部になったように感じるという表現です。前の句は自分が壺の中に閉じ込められるような感覚、後の句は自分が絵の中を動いていく感覚で、景色との一体感の違いが対比されています。
この章句が説くこと
自然風雅閑適景色四季
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