酔古堂剣掃 / 集靈・曲生の氣味は市飲に十倍す
郊居,誅茅結屋,雲霞棲梁棟之間,竹樹在汀洲之外;與二三之同調,望衡對宇,聯接巷陌;風天雪夜,買酒相呼;此時覺曲生氣味,十倍市飲。
新字:郊居,誅茅結屋,雲霞棲梁棟之間,竹樹在汀洲之外;与二三之同調,望衡対宇,聯接巷陌;風天雪夜,買酒相呼;此時覚曲生気味,十倍市飲。
書き下し
郊居して、茅を誅り屋を結ぶ、雲霞梁棟の間に棲み、竹樹汀洲の外に在り。二三の同調と、衡を望み宇に對し、巷陌を聯接す。風の天雪の夜、酒を買ひて相呼ぶ。此の時曲生の氣味、市飲に十倍するを覺ゆ。
現代語訳
郊外に住み、茅を刈って小屋を建てると、雲や霞が梁や棟木のあいだにたなびき、竹や木々が水辺の中州の向こうに茂ります。気の合う二、三人と、門が見え軒が向かい合うほど近くに住み、路地でつながっています。風の強い日や雪の夜には、酒を買ってたがいに呼び合います。このときの酒の味わいは、町中で飲む酒の十倍にも感じられます。
解説
郊外に気の合う仲間と隣り合って住み、折にふれ酒を酌み交わす楽しみを描いた一則です。誅茅は茅を刈ること、望衡對宇は門の横木が見え軒が向かい合うほど家が近いことを言います。曲生は麹から生まれた者という意味で、酒を人に見立てた呼び名です。風雪の夜にわざわざ呼び合って飲む酒が、町の酒場の十倍もうまいというのは、酒そのものより、その場の親しさと景色が味を決めることを語っています。住まいを選ぶときに、近くに心を許せる人がいるかどうかは、今でも暮らしの豊かさを大きく左右します。
この章句が説くこと
交友隠逸飲酒閑適郊居
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