酔古堂剣掃 / 集景・亦た五雲の餘蔭なり
杜門避影出山,一事不到,夢寐間春晝花陰,猿鶴飽臥,亦五雲之餘蔭。
新字:杜門避影出山,一事不到,夢寐間春昼花陰,猿鶴飽臥,亦五雲之余蔭。
書き下し
門を杜ぢ影を避け、山を出づること、一事も到らず、夢寐の間に春晝の花陰、猿鶴飽臥す、亦た五雲の餘蔭なり。
現代語訳
門を閉ざして人目を避け、山を出るようなことは何ひとつ思いもしません。寝ても覚めても、春の昼の花の陰で、猿や鶴が満ち足りて寝そべっている。これもまた、五色の瑞雲がもたらす恵みのおかげなのです。
解説
世間から身を引いた暮らしの安らぎを、太平の世の恵みとして感謝する一則です。杜門避影は、門を閉じて人目につかないように暮らすことです。出山は、隠者が山を出て官職に就くことを言い、そのようなことは一つも心に上らないと言います。夢寐の間は寝ても覚めても、飽臥は腹いっぱいになって寝そべることです。猿や鶴という山中の友が満ち足りて眠る光景に、平和な暮らしが象徴されています。五雲は五色の雲で、天子の居所や太平の世に現れるめでたい雲とされます。隠者の安らかな暮らしも、世の中が平和であってこそ成り立つという認識が表れています。自分の穏やかな日々が、多くの支えの上にあることを思い出させる一句です。
この章句が説くこと
隠逸閑適感謝太平自然
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