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酔古堂剣掃 / 集景・江清くして月人に近し

野曠天低樹,江清月近人。

書き下し

野曠くして天樹に低れ、江清くして月人に近し。

現代語訳

野原が広々としているので、空が木々よりも低く垂れているように見えます。川が澄んでいるので、水に映った月が人のすぐ近くにあるように見えます。

解説

唐の孟浩然の五言絶句、宿建德江の後半二句をそのまま採った一則です。舟を岸につないで一夜を過ごす旅人が、夕暮れの景色を眺める場面です。前の句は、どこまでも広い野原では、遠くの空が木々の梢より低く見えるという遠近の感覚を描いています。後の句は、澄んだ川面に月が映り、その月が人のすぐそばにあるように感じられるという、近さの感覚です。遠いはずの天が低く、遠いはずの月が近いという逆転が、旅人の孤独と慰めを同時に伝えます。遠く離れた旅先で、月や星がかえって近くに感じられるのは、見知らぬ土地で身近なものを求める心の働きなのかもしれません。

この章句が説くこと

自然風雅唐詩

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