酔古堂剣掃 / 集景・皆各おの其の性に適ふ
柴門不扃,筠簾半卷,梁間紫燕,呢呢喃喃,飛出飛入。山人以嘯詠佐之,皆各適其性。
新字:柴門不扃,筠簾半巻,梁間紫燕,呢呢喃喃,飛出飛入。山人以嘯詠佐之,皆各適其性。
書き下し
柴門扃さず、筠簾半ば卷き、梁間の紫燕、呢呢喃喃として、飛び出で飛び入る。 山人嘯詠を以て之を佐け、皆各おの其の性に適ふ。
現代語訳
柴の門には鍵をかけず、竹の簾を半分巻き上げておくと、梁の間に巣をかけた燕が、ちいちいとさえずりながら飛び出したり飛び込んだりします。山に住む人は、口笛や詩を吟じてそれに合わせ、どちらもそれぞれの性分にかなっています。
解説
人と燕が同じ家で気ままに過ごす、のどかな光景を描いた一則です。扃は門のかんぬき、筠簾は竹で編んだ簾です。門も簾も開け放しにしているので、燕は遠慮なく出入りし、呢呢喃喃とさえずっています。呢喃は燕の鳴き声を表す言葉で、親しげに語り合うような響きがあります。山人は山に住む隠者で、燕の声に合わせて口笛を吹き、詩を吟じます。人も鳥も、互いに邪魔をせず、それぞれの性分のまま過ごしているところに、この則の味わいがあります。家族や同僚とも、相手を無理に変えようとせず、それぞれのあり方を認め合えば、同じ空間がずっと心地よくなるのではないでしょうか。
この章句が説くこと
自然閑適共生隠逸個性
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