酔古堂剣掃 / 集景・終日返るを忘る
每登高邱,步邃谷,延留燕坐,見懸崖瀑流,壽木垂蘿,閟邃岑寂之處,終日忘返。
新字:毎登高邱,歩邃谷,延留燕坐,見懸崖瀑流,寿木垂蘿,閟邃岑寂之処,終日忘返。
書き下し
每に高邱に登り、邃谷を步み、延留して燕坐し、懸崖の瀑流、壽木の垂蘿、閟邃岑寂の處を見れば、終日返るを忘る。
現代語訳
いつも高い丘に登り、奥深い谷を歩き、長くとどまってくつろいで座り、切り立った崖に落ちる滝、古木から垂れ下がるつた、奥深くひっそりと静まり返った所を見ていると、一日中帰るのを忘れてしまいます。
解説
山歩きの中で時間を忘れる喜びを描いた一則です。高邱と邃谷、つまり高い丘と深い谷を上り下りし、気に入った場所では延留、すなわち長く足を止めて座り込みます。懸崖の瀑流と壽木の垂蘿は、動く水と静かな木、激しさと古さを組み合わせた景色です。壽木は長寿の木、古木のことです。閟邃岑寂は、奥深く閉ざされ、ひっそりと静まり返ったさまを四字で重ねた言葉です。そうした場所では、一日中帰ることを忘れると結ばれます。予定どおりに名所を回るのではなく、気に入った場所に好きなだけ留まる歩き方こそ、心を満たす旅なのかもしれません。
この章句が説くこと
自然閑適山水静寂隠逸
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