酔古堂剣掃 / 集景・徑は曲らんことを欲す
門內有徑,徑欲曲;徑轉有屏:屏欲小;屏進有階,階欲平;階畔有花,花欲鮮;花外有墻,墻欲低;墻內有松,松欲古:松底有石,石欲怪;石面有亭,亭欲樸;亭後有竹,竹欲疏;竹盡有室,室欲幽;室旁有路,路欲分;路合有橋,橋欲危;橋邊有樹,樹欲高;樹陰有草,草欲青;草上有渠,渠欲細;渠引有泉,泉欲瀑;泉去有山,山欲深:山下有屋,屋欲方;屋角有圃,圃欲寬;圃中有鶴,鶴欲舞;鶴報有客,客不俗;客至有酒,酒欲不卻;酒行有醉,醉欲不歸。
新字:門内有径,径欲曲;径転有屏:屏欲小;屏進有階,階欲平;階畔有花,花欲鮮;花外有墻,墻欲低;墻内有松,松欲古:松底有石,石欲怪;石面有亭,亭欲樸;亭後有竹,竹欲疏;竹尽有室,室欲幽;室旁有路,路欲分;路合有橋,橋欲危;橋辺有樹,樹欲高;樹陰有草,草欲青;草上有渠,渠欲細;渠引有泉,泉欲瀑;泉去有山,山欲深:山下有屋,屋欲方;屋角有圃,圃欲寛;圃中有鶴,鶴欲舞;鶴報有客,客不俗;客至有酒,酒欲不却;酒行有酔,酔欲不帰。
書き下し
門內に徑有り、徑は曲らんことを欲す。徑轉じて屏有り、屏は小ならんことを欲す。屏進みて階有り、階は平らかならんことを欲す。階の畔に花有り、花は鮮やかならんことを欲す。花の外に墻有り、墻は低からんことを欲す。墻の內に松有り、松は古からんことを欲す。松の底に石有り、石は怪ならんことを欲す。石の面に亭有り、亭は樸ならんことを欲す。亭の後に竹有り、竹は疏ならんことを欲す。竹盡きて室有り、室は幽ならんことを欲す。室の旁に路有り、路は分れんことを欲す。路合して橋有り、橋は危からんことを欲す。橋の邊に樹有り、樹は高からんことを欲す。樹の陰に草有り、草は青からんことを欲す。草の上に渠有り、渠は細からんことを欲す。渠引きて泉有り、泉は瀑ならんことを欲す。泉去りて山有り、山は深からんことを欲す。山の下に屋有り、屋は方ならんことを欲す。屋の角に圃有り、圃は寬からんことを欲す。圃の中に鶴有り、鶴は舞はんことを欲す。鶴報じて客有り、客は俗ならず。客至りて酒有り、酒は卻けざらんことを欲す。酒行りて醉ひ有り、醉ひては歸らざらんことを欲す。
現代語訳
門の内には小道があり、小道は曲がっているのがよい。小道が折れると目隠しの衝立があり、衝立は小さいのがよい。衝立の先には石段があり、石段は平らなのがよい。石段のそばには花があり、花は鮮やかなのがよい。花の外には塀があり、塀は低いのがよい。塀の内には松があり、松は古いのがよい。松の根元には石があり、石は奇妙な形がよい。石の上には東屋があり、東屋は素朴なのがよい。東屋の後ろには竹があり、竹はまばらなのがよい。竹が尽きると部屋があり、部屋は奥まって静かなのがよい。部屋のわきには道があり、道は分かれているのがよい。道が合わさると橋があり、橋は高くて危ういのがよい。橋のほとりには木があり、木は高いのがよい。木陰には草があり、草は青いのがよい。草の上には水路があり、水路は細いのがよい。水路をたどると泉があり、泉は滝になっているのがよい。泉が流れ去る先には山があり、山は深いのがよい。山のふもとには家があり、家は四角いのがよい。家の隅には畑があり、畑は広いのがよい。畑には鶴がいて、鶴は舞っているのがよい。鶴が知らせると客が来て、客は俗っぽくない人です。客が来れば酒があり、酒は断らないのがよい。酒が回れば酔いがあり、酔ったら帰らないのがよいのです。
解説
この章句が説くこと
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