酔古堂剣掃 / 集景・清きこと肌骨に入る
夜闌人靜,攜一童立於清溪之畔,孤鶴忽唳,魚躍有聲,清入肌骨。
新字:夜闌人静,攜一童立於清渓之畔,孤鶴忽唳,魚躍有声,清入肌骨。
書き下し
夜闌に人靜まり、一童を攜へて清溪の畔に立てば、孤鶴忽ち唳き、魚躍りて聲有り、清きこと肌骨に入る。
現代語訳
夜が更けて人も寝静まったころ、子どもの召使いを一人連れて清らかな谷川のほとりに立つと、一羽の鶴がふいに鳴き、魚が跳ねて水音がします。その清らかさは、肌から骨にまでしみ通ります。
解説
深夜の谷川で出会った一瞬の音を、清らかさの極みとして描いた一則です。夜闌は夜がふけること、一童は身の回りの世話をする少年の従者です。静まり返った中に、孤鶴の鋭い鳴き声と、魚の跳ねる小さな音が続けて響きます。大きな音ではなく、静けさを破るかすかな音が、かえって静けさを深めているのです。清入肌骨という結びは、清らかさを耳や目で感じるだけでなく、体の奥で感じ取る表現になっています。夜の散歩で、虫の声や水の音に耳を澄ませてみると、昼間の騒がしさで鈍っていた感覚が、少しずつ戻ってくるかもしれません。
この章句が説くこと
自然静寂閑適夜清涼
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