酔古堂剣掃 / 集素・淡月の輕雲に映ずるに似たり
善救時,若和風之消酷暑,能脫俗,似淡月之映輕雲。
新字:善救時,若和風之消酷暑,能脱俗,似淡月之映軽雲。
書き下し
善く時を救ふは、和風の酷暑を消すが若く、能く俗を脫するは、淡月の輕雲に映ずるに似たり。
現代語訳
時世の難儀をうまく救うのは、穏やかな風がきびしい暑さを消していくようなものです。俗っぽさからうまく抜け出すのは、淡い月が薄い雲に映えているようなものです。
解説
世を救う力と俗を離れる品格を、二つの自然の喩えで描いた一則です。前の句は、救時、すなわち時代の困難を助けるには、力ずくではなく、和やかな風が暑さを和らげるように穏やかに働くのがよいと言います。後の句は、脱俗、すなわち俗気を脱することを、薄雲越しにほのかに光る月にたとえています。煌々と輝いて自分を誇示するのではなく、雲を通してやわらかく光るところに、上品な脱俗の姿があるのです。改革や問題解決も、声高に進めるより、周りが気づかないうちに空気を和らげるような進め方のほうが長続きするのかもしれません。
この章句が説くこと
処世風雅治政穏和品格
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