酔古堂剣掃 / 集素・一心累ひ無くんば四季良辰
黃花紅樹,春不如秋;白雪青松,冬亦勝夏。春夏園林,秋冬山谷,一心無累,四季良辰。
新字:黄花紅樹,春不如秋;白雪青松,冬亦勝夏。春夏園林,秋冬山谷,一心無累,四季良辰。
書き下し
黃花紅樹、春は秋に如かず。 白雪青松、冬も亦た夏に勝る。 春夏は園林、秋冬は山谷、一心累ひ無くんば、四季良辰なり。
現代語訳
黄色い菊と紅葉した木々を思えば、春は秋に及びません。白い雪と青い松を思えば、冬もまた夏に勝ります。春と夏は庭園で、秋と冬は山や谷で過ごせばよく、心に煩いさえなければ、四季はどれもよい時節です。
解説
季節の優劣を論じるように見せて、最後に心のありようへ話を収める一則です。前半では、ふつう好まれる春や夏より、菊と紅葉の秋、雪と松の冬のほうが勝ると、あえて逆を言います。中ほどでは、春夏は庭園、秋冬は山谷と、季節ごとにふさわしい場所を割り振ります。そして結びで、一心に累いがなければ、四季すべてがよい時節になると言い切ります。累は、心を縛る煩いやわずらわしさのことです。景色のよしあしは季節そのものではなく、見る人の心の軽さによって決まるという教えです。好きになれない季節がある人も、その季節にふさわしい楽しみ方を探してみるとよいでしょう。
この章句が説くこと
自然閑適四季心境知足
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