酔古堂剣掃 / 集素・花開くを見て春と為す
流年不復記,但見花開為春,花落為秋;終歲無所營,惟知日出而作,日入而息。
新字:流年不復記,但見花開為春,花落為秋;終歳無所営,惟知日出而作,日入而息。
書き下し
流年復た記さず、但だ花開くを見て春と為し、花落つるを秋と為す。 終歲營む所無く、惟だ日出でて作し、日入りて息ふを知るのみ。
現代語訳
流れゆく年月をもう数えることはありません。ただ花が開くのを見て春とし、花が散るのを見て秋とするだけです。一年中あくせく営むこともなく、ただ日が昇れば働き、日が沈めば休むことを知っているだけです。
解説
暦にとらわれず、自然のリズムに従って暮らす姿を描いた一則です。流年は流れるように過ぎていく年月です。何年何月と数えるのではなく、花の開落で季節を知るという暮らしは、唐の詩に見える、山中に暦日無しという句にも通じます。後半の日出でて作し日入りて息うは、太古の農民が歌ったとされる撃壌歌の句で、帝の力など自分に何の関わりがあろうかと続き、素朴で満ち足りた暮らしの象徴とされます。無所営は、利益を求めてあくせくしないことです。締め切りや数字に追われる毎日でも、ときには太陽と季節の歩みに体を合わせる日を持ちたいものです。
この章句が説くこと
自然閑適素朴撃壌歌隠逸
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