酔古堂剣掃 / 集素・遠山の雲を耕し破る
披卷有餘閒,留客坐殘良夜月;褰帷無別務,呼童耕破遠山雲。
新字:披巻有余閒,留客坐残良夜月;褰帷無別務,呼童耕破遠山雲。
書き下し
卷を披けば餘閒有り、客を留めて良夜の月を坐し殘す。 帷を褰ぐれば別務無し、童を呼びて遠山の雲を耕し破る。
現代語訳
書物を開けば暇はたっぷりあり、客を引き留めて、よい夜の月が傾くまで座り続けます。とばりをかかげても、ほかにする用事はなく、子どもを呼んで、遠い山にかかる雲を耕し破るように畑を打ちます。
解説
書を読む夜と、畑を耕す昼とを対にした一則です。前の句は、本を開いて客と語り合ううちに月が傾いていく、ゆったりした夜の時間を描きます。後の句は、とばりを上げても用事がなく、童僕を呼んで山の畑に出るさまで、遠い山の雲まで耕してしまうという誇張が、山居の広々とした気分を伝えます。褰帷は、とばりをかかげることです。どちらも急ぎの用がないことを楽しんでいます。予定で埋まった毎日の中でも、何もしなくてよい時間を意識して残しておくと、読書や人との語らいが深まるのではないでしょうか。
この章句が説くこと
閑適読書清貧隠逸田園
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