酔古堂剣掃 / 集素・五湖の煙月も盡く寸衷に入る
會得個中趣,五湖之煙月盡入寸衷:破得眼前機,千古之英雄都歸掌握。
新字:会得個中趣,五湖之煙月尽入寸衷:破得眼前機,千古之英雄都帰掌握。
書き下し
個中の趣を會得すれば、五湖の煙月も盡く寸衷に入る。 眼前の機を破得すれば、千古の英雄も都て掌握に歸す。
現代語訳
この中の趣を会得すれば、五湖の霞にけむる月の景色もすべて胸の内に収まります。目の前の仕掛けを見破れば、千古の英雄たちもみな手のひらの中に収まります。
解説
心の悟りと、物事の本質を見抜く力がもたらす大きな自由を述べた対句です。個中は、このものの中という意味で、物事の奥にある趣を指します。五湖は太湖をはじめとする江南の湖で、春秋時代の范蠡が功成って五湖に舟を浮かべたという話で知られる、風雅と隠逸の象徴です。寸衷は一寸四方の胸の内、つまり心のことです。眼前の機は目の前の物事の仕組みやからくり、破得はそれを見破ることです。千古の英雄が掌握に帰すとは、歴史上の英雄たちの栄枯も、その本質を見抜けば手に取るように分かるということです。菜根譚にもほぼ同じ句があります。広い世界を知るには、目の前の物事の本質を深く見抜くことが大切なのです。
この章句が説くこと
悟り洞察処世心境菜根譚
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