酔古堂剣掃 / 集素・卻つて疑ふ苔影の花に上り來たるかと
雨後卷簾看霽色,卻疑苔影上花來。
新字:雨後巻簾看霽色,却疑苔影上花来。
書き下し
雨後簾を卷きて霽色を看れば、卻つて疑ふ苔影の花に上り來たるかと。
現代語訳
雨上がりに簾を巻き上げて晴れた景色を眺めると、苔の緑の影が花の上にまで這い上がってきたのではないかと思えてしまいます。
解説
雨上がりの庭の一瞬の印象を、七言二句でとらえた詩的な一則です。霽色は雨が上がって晴れた景色のことです。雨に洗われた苔の緑が鮮やかさを増し、その色が花にまで映り込んで、まるで苔の影が花の上に上ってきたように見えるというのです。唐の劉禹錫の陋室銘に、苔痕階に上りて緑なりという句があり、苔が石段を這い上がるという表現は、閑かな住まいの象徴として好まれました。ここではそれを一歩進めて、花にまで上ってきたかと疑うところに、雨上がりの色彩の瑞々しさが生きています。雨の日を憂うつに過ごすだけでなく、上がった後の景色を楽しみに待つ心の余裕を思わせます。
この章句が説くこと
自然風雅雨苔閑適
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