酔古堂剣掃 / 集素・野衲を呼びて斜陽に泛かぶ
家鴛鴦湖濱,饒兼葭鳧鷖,水月澹蕩之觀。客嘯漁歌,風帆煙艇,虛無出沒,半落幾上,呼野衲而泛斜陽,無過此矣!
新字:家鴛鴦湖浜,饒兼葭鳧鷖,水月澹蕩之観。客嘯漁歌,風帆煙艇,虚無出没,半落幾上,呼野衲而泛斜陽,無過此矣!
書き下し
家は鴛鴦湖の濱にして、兼葭鳧鷖、水月澹蕩の觀饒し。 客嘯漁歌、風帆煙艇、虛無に出沒し、半ば幾上に落つ。 野衲を呼びて斜陽に泛かぶ、此れに過ぐる無し。
現代語訳
私の家は鴛鴦湖のほとりにあり、葦や鴨、かもめが多く、水に月が映ってゆらゆらと揺れる眺めに恵まれています。旅人の口笛や漁師の歌、風をはらんだ帆や霞の中の小舟が、何もない空間に現れては消え、その半分は机の上に落ちてくるかのようです。野の僧を呼んで、夕日の中に舟を浮かべる。これにまさる楽しみはありません。
解説
湖畔の住まいの眺めと、夕暮れの舟遊びの楽しみを描いた一則です。鴛鴦湖は浙江省嘉興の南湖の別名で、この句を書いた人の住まいがそこにあったと思われます。兼葭は、葦を言う蒹葭と同じと読みました。鳧鷖は鴨とかもめ、澹蕩は水がゆったりと揺れるさまです。客嘯漁歌は旅人の口笛と漁師の歌、風帆煙艇は風を受けた帆と霞に包まれた小舟です。虚無に出没し、半ば几上に落つとは、窓の外の景色が、まるで机の上に映り込むように近く感じられることを言います。几は机です。野衲は野の僧です。住まいの窓から見える景色が、日々の心をどれほど豊かにするかを伝えています。
この章句が説くこと
山水住まい閑適湖舟遊び
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