酔古堂剣掃 / 集素・毀譽人の腳根に隨へば讒夫志を得
若富貴,由我力取,則造物無權;若毀譽,隨人腳根,則讒夫得志。
新字:若富貴,由我力取,則造物無権;若毀誉,随人脚根,則讒夫得志。
書き下し
若し富貴、我が力に由りて取らば、則ち造物に權無し。 若し毀譽、人の腳根に隨はば、則ち讒夫志を得。
現代語訳
もし富や地位が自分の力だけで取れるものなら、造物主には何の権限もないことになります。もし悪口や褒め言葉に振り回されて人の後をついて回るなら、讒言をする者の思うつぼです。
解説
富貴と毀誉という二つの外物について、執着の愚かさを説いた対句です。前半は、富貴は自分の力だけで取れるものではなく、天の配剤、つまり造物主の働きによるところが大きいと言います。だからこそ無理に追い求めても仕方がないのです。後半の随人脚根は、人のかかとについて回ること、つまり他人の評判に振り回されることです。讒夫は人を陥れる悪口を言う者で、毀誉に一喜一憂する人ほど、彼らに操られやすくなります。自分の力の及ばないものは天に任せ、人の評判には動じない。努力すべき所と、気にすべきでない所を見分ける知恵です。
この章句が説くこと
富貴毀誉天命処世讒言
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