酔古堂剣掃 / 集素・和凝の湯社を為す
穀雨前後,為和凝湯社,雙井白茅,湖州紫筍,掃臼滌鐺,徵泉選火。以王蒙為品司,盧仝為執權,李贊皇為博士,陸鴻漸為都統。聊消渴吻,敢諱水淫,差取嬰湯,以供茗戰。
新字:穀雨前後,為和凝湯社,双井白茅,湖州紫筍,掃臼滌鐺,徴泉選火。以王蒙為品司,盧仝為執権,李賛皇為博士,陸鴻漸為都統。聊消渇吻,敢諱水淫,差取嬰湯,以供茗戦。
書き下し
穀雨の前後、和凝の湯社を為し、雙井の白茅、湖州の紫筍、臼を掃ひ鐺を滌ひ、泉を徵し火を選ぶ。 王蒙を以て品司と為し、盧仝を執權と為し、李贊皇を博士と為し、陸鴻漸を都統と為す。 聊か渴吻を消す、敢へて水淫を諱まんや、差や嬰湯を取りて、以て茗戰に供す。
現代語訳
穀雨の前後には、和凝(五代の人)にならって茶の会を開きます。双井の白茅、湖州の紫筍といった銘茶をそろえ、臼を掃き茶釜を洗い、泉の水を取り寄せ、火を選びます。王蒙(晋の王濛か)を品評係とし、盧仝(唐の詩人)を秤の係とし、李賛皇(唐の李徳裕)を博士とし、陸鴻漸(唐の陸羽)を総監とします。まずは渇いた口を潤すのですから、水に溺れる者と言われるのをどうして憚りましょう。ほどよい加減の湯を取って、茶の競べ合いに供します。
解説
春の茶会を、茶の歴史上の名士たちを役職に見立てて楽しく描いた一則です。穀雨は二十四節気の一つで、四月の中ごろ、新茶の季節です。和凝は五代の宰相で、同僚と日替わりで茶をふるまい、味の劣る者に罰を科す湯社という会を作ったと伝えられます。双井は江西、紫筍は湖州の名茶です。王蒙は茶好きで客に茶を強いた晋の王濛のことと思われ、盧仝は七碗の茶の詩で知られ、李賛皇は水の味を見分けた唐の宰相李徳裕、陸鴻漸は『茶経』を著した陸羽です。嬰湯は湯の沸き加減を言う言葉と思われ、茗戦は茶の優劣を競う闘茶です。好きなものを仲間と本気で楽しむ遊び心が伝わります。
この章句が説くこと
茶風雅交友陸羽闘茶
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