酔古堂剣掃 / 集素・蓴鱸正に美し
三月茶筍初肥,梅風未困;九月蓴鱸正美,秫酒新香;勝友晴窗,出古人法書名畫,焚香評賞,無過此時。
新字:三月茶筍初肥,梅風未困;九月蓴鱸正美,秫酒新香;勝友晴窗,出古人法書名画,焚香評賞,無過此時。
書き下し
三月は茶筍初めて肥え、梅風未だ困ぜず。 九月は蓴鱸正に美く、秫酒新たに香し。 勝友と晴窗に、古人の法書名畫を出し、香を焚きて評賞す、此の時に過ぐるは無し。
現代語訳
三月には茶の芽と筍がふっくらし始め、梅の季節の風もまだ衰えていません。九月には蓴菜と鱸がちょうどおいしく、もち粟の酒が新たに香ります。よき友と晴れた窓辺で、昔の人の名筆や名画を取り出し、香を焚いて品評し味わう、これにまさる時はありません。
解説
春と秋の味覚を並べ、よき友との鑑賞の時を最上の楽しみとした一則です。茶筍は茶の新芽と筍、梅風は梅の咲くころの風です。蓴鱸は、晋の張翰が秋風に故郷の呉の蓴菜の吸い物と鱸のなますを思い出し、官職を捨てて帰郷したという故事で知られます。秫酒はもち粟で造った酒です。法書名画は書の手本と名画のことです。旬の味と友と美しいものがそろう時を、人生の至福と見ています。季節のものを味わい、気の合う仲間と好きなものを語り合う時間を、意識して暮らしに組み込みたいものです。
この章句が説くこと
交友風雅季節鑑賞閑適
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