酔古堂剣掃 / 集素・石畔に眠らんと欲すれば琴囊枕とすべし
花前無燭,松葉堪燃;石畔欲眠,琴囊可枕。
新字:花前無燭,松葉堪燃;石畔欲眠,琴嚢可枕。
書き下し
花前に燭無くとも、松葉燃やすに堪ふ。 石畔に眠らんと欲すれば、琴囊枕とすべし。
現代語訳
夜に花の前で灯りがなくても、松の葉を燃やせば事足ります。石のほとりで眠りたくなれば、琴の袋を枕にすればよいのです。
解説
ないものは身近なもので代用すればよいという、隠者の気楽な工夫を描いた対句です。夜の花を灯りで照らして楽しむのは文人の風雅ですが、ろうそくがなくても松の葉を燃やせば明かりになります。松葉はよく燃え、香りもよいものです。石のそばで眠くなったら、琴を入れた袋を枕にすればよいと言います。道具が足りないことを嘆くのではなく、手元にあるものを工夫して使う柔軟さと、それを楽しむ余裕が感じられます。完璧な準備が整うまで待つのではなく、今あるもので始めてしまう。仕事でも暮らしでも役立つ、身軽な発想です。
この章句が説くこと
清貧工夫閑適風雅知足
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