酔古堂剣掃 / 集素・何ぞ六甲の行廚を煩はさん
盤餐一菜,永絕腥膻,飯僧宴客,何煩六甲行廚;茆屋三楹,僅蔽風雨,掃地焚香,安用數童縛帚。
新字:盤餐一菜,永絶腥膻,飯僧宴客,何煩六甲行廚;茆屋三楹,僅蔽風雨,掃地焚香,安用数童縛帚。
書き下し
盤餐一菜、永く腥膻を絕つ、僧に飯し客を宴するに、何ぞ六甲の行廚を煩はさん。 茆屋三楹、僅かに風雨を蔽ふ、地を掃ひ香を焚くに、安んぞ數童の帚を縛るを用ひん。
現代語訳
皿の料理は野菜一品で、生臭い肉や魚は永く断っています。僧に食事を出し客をもてなすのに、どうして六甲の神々に料理を運ばせる必要がありましょう。茅ぶきの家は三間だけで、かろうじて風雨をしのぐばかりです。地面を掃き香を焚くのに、どうして何人もの童子に箒を作らせる必要がありましょう。
解説
簡素な食と住まいで十分だと述べた対句です。腥膻は生臭い肉や魚のことです。六甲行厨は、道教の方術で六甲の神々を使役して、どこでも料理を取り寄せるという術のことで、仙人の伝説によく見えます。そんな大がかりなもてなしは要らないと言うのです。茆屋は茅ぶきの家、楹は柱のことで、三楹は間口三間ほどの小さな家を指します。縛帚は箒を束ねて作ることで、多くの召使いを使う暮らしを指します。質素な家なら、掃除も自分ひとりで足ります。暮らしを小さくすると、人手も手間も要らなくなり、身も心も軽くなるという、今日の身軽な暮らしにも通じる考えです。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
清貧素朴菜食住まい知足
関連する章句
-
言志四録・言志後録 第百七十九条 白は五色の原白は能く衆采を受く、五色の原なり。賁の極、色無きを白賁と為す。素以て絢を為すは、白なり。其の位に素して行ふは、白なり。素履の吉は、白なり。余嘗て之を攷ふるに、五色の原は白に起こる。白の凝聚するを青と為し、青の舒暢するを黄と為し、黄の爛熟するを赤と為し、赤の積累するを黒と為す。黒の極至は、又白に帰す。生出流行も、蓋し亦此くの如し。
-
『呻吟語』内篇・養生・太樸は天地の命脈太樸は、天地の命脈なり。太樸散じて天地の壽妖卜す可し。故に萬物蕃れば、則ち造化の元精耗散す。木の實多き者は根傷み、草の莖出づる者は根虛し、費用廣き者は家貧しく、言行多き者は神竭く。皆な妖道なり。老子の受用の處は、盡く此の中に看破す。
-
『呻吟語』内篇・應務・無用の樸は君子貴ばず無用の樸は、君子貴ばず。機械變詐を事とせずと雖も、德慧術知に至りては、亦た無かる可からず。
-
『酔古堂剣掃』集醒・童子は智少なくして愈〻完し童子は智少なし、愈〻少なくして愈〻完し。成人は智多し、愈〻多くして愈〻散ず。
-
『酔古堂剣掃』集綺・野花目に艷なり野花目に艷なり、必ずしも牡丹ならず。 村酒人を醉はしむ、何ぞ綠蟻を須ゐん。
-
『呻吟語』内篇・應務・巧は氣化の賊なり巧なる者は、氣化の賊なり、萬物の禍なり、心術の蠹なり、財用の災なり。君子貴ばず。