酔古堂剣掃 / 集素・何ぞ六甲の行廚を煩はさん
盤餐一菜,永絕腥膻,飯僧宴客,何煩六甲行廚;茆屋三楹,僅蔽風雨,掃地焚香,安用數童縛帚。
新字:盤餐一菜,永絶腥膻,飯僧宴客,何煩六甲行廚;茆屋三楹,僅蔽風雨,掃地焚香,安用数童縛帚。
書き下し
盤餐一菜、永く腥膻を絕つ、僧に飯し客を宴するに、何ぞ六甲の行廚を煩はさん。 茆屋三楹、僅かに風雨を蔽ふ、地を掃ひ香を焚くに、安んぞ數童の帚を縛るを用ひん。
現代語訳
皿の料理は野菜一品で、生臭い肉や魚は永く断っています。僧に食事を出し客をもてなすのに、どうして六甲の神々に料理を運ばせる必要がありましょう。茅ぶきの家は三間だけで、かろうじて風雨をしのぐばかりです。地面を掃き香を焚くのに、どうして何人もの童子に箒を作らせる必要がありましょう。
解説
簡素な食と住まいで十分だと述べた対句です。腥膻は生臭い肉や魚のことです。六甲行厨は、道教の方術で六甲の神々を使役して、どこでも料理を取り寄せるという術のことで、仙人の伝説によく見えます。そんな大がかりなもてなしは要らないと言うのです。茆屋は茅ぶきの家、楹は柱のことで、三楹は間口三間ほどの小さな家を指します。縛帚は箒を束ねて作ることで、多くの召使いを使う暮らしを指します。質素な家なら、掃除も自分ひとりで足ります。暮らしを小さくすると、人手も手間も要らなくなり、身も心も軽くなるという、今日の身軽な暮らしにも通じる考えです。
この章句が説くこと
清貧素朴菜食住まい知足
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