酔古堂剣掃 / 集素・黃帽青鞋、我に任せて逍遙す
皂囊白簡,被人描盡半生;黃帽青鞋,任我逍遙一世。
新字:皂嚢白簡,被人描尽半生;黄帽青鞋,任我逍遥一世。
書き下し
皂囊白簡、人に描き盡くさるる半生。 黃帽青鞋、我に任せて逍遙す一世。
現代語訳
黒い袋に入れた密奏や弾劾の上奏文を扱う役人暮らしでは、半生を人にあれこれ書き立てられて終わります。黄色い帽子に青い草鞋の気ままな身なりなら、一生を思いのままにのびやかに過ごせます。
解説
官僚としての人生と、自由な隠者の人生とを対比した一則です。皂嚢は黒い布の袋で、漢代に機密の上奏文を入れたものです。白簡は官吏の罪を弾劾する文書で、御史の職務を象徴します。こうした役目にある者は、人の過ちを暴く一方で、自分も人から評判を書き立てられ、半生を他人の筆の中で過ごすことになります。黄帽は隠者や道士のかぶる帽子、青鞋は草で編んだ履物で、野に遊ぶ人の身なりです。逍遙は束縛のない自在な境地です。人の評価の中で生きるか、自分の足で気ままに歩くか。働き方や生き方を選ぶときに、心のどこかで問い直したい対比です。
この章句が説くこと
隠逸逍遥官途自由処世
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