酔古堂剣掃 / 集峭・軒冕の中に居りては山林の氣味
居軒冕之中,不可無山林的氣味;處林泉之下,須要懷廊廟的經綸。
新字:居軒冕之中,不可無山林的気味;処林泉之下,須要懐廊廟的経綸。
書き下し
軒冕の中に居りては、山林の氣味無かるべからず;林泉の下に處りては、須らく廊廟の經綸を懷くべし。
現代語訳
高い官位にあるときには、山林に暮らす隠者の趣を失ってはなりません。林や泉のほとりに隠れ住むときには、朝廷で天下を治める抱負を胸に抱いていなければなりません。
解説
官にある時と野にある時、それぞれに反対側の心を持てと説いた対句で、『菜根譚』にもほぼ同じ句があります。軒冕は高官の乗る車と冠で、高い地位の象徴です。山林の気味は、名利にとらわれない隠者の淡泊な趣です。林泉は隠棲の地、廊廟は朝廷、經綸は国を治める計画や抱負のことです。地位にある者が隠者の心を持てば権勢におぼれず、野にある者が経世の志を持てば独りよがりの逃避に終わりません。どちらの立場でも、もう一方の視点を失わないことが人を偏りから救います。現役で忙しい人は一歩引いた視点を、退いた人は世の役に立つ志を、それぞれ胸に置いておきたいものです。
この章句が説くこと
菜根譚処世出処経綸平衡
関連する章句
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菜根譚・前集軒冕の中に居るも、山林の気味無かるべからず。林泉の下に処るも、須らく廊廟の経綸を懐くを要すべし。
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