酔古堂剣掃 / 集素・長嘯數聲、空山響きに答ふ
鐵笛吹殘,長嘯數聲,空山答響;胡麻飯罷,高眠一覺,茂樹屯陰。
新字:鉄笛吹残,長嘯数声,空山答響;胡麻飯罷,高眠一覚,茂樹屯陰。
書き下し
鐵笛吹き殘し、長嘯數聲、空山響きに答ふ。 胡麻飯罷み、高眠一覺、茂樹陰を屯む。
現代語訳
鉄の笛を吹き終えて、長く声を引いて何度か歌えば、人けのない山がこだまで応えます。胡麻飯を食べ終えて、ゆったりとひと眠りすれば、茂った木々が陰を集めてくれます。
解説
山中の隠者の気ままな一日を、音と陰で描いた対句です。鉄笛は鉄で作った笛で、仙人や隠者が吹くものとして詩によく登場します。長嘯は声を長く引く発声法で、晋の阮籍が山中の蘇門先生と嘯き合った話で知られます。空山は人けのない山です。胡麻飯は胡麻を炊き込んだ飯で、後漢の劉晨と阮肇が天台山で仙女に胡麻飯をふるまわれたという伝説から、仙人の食べ物とされます。屯陰は陰が集まることです。吹けば山が応え、眠れば木が陰を作る。自然と呼応しながら暮らす心地よさが伝わります。自然に囲まれて過ごす時間が、心の回復にどれほど役立つかを思わせます。
この章句が説くこと
隠逸自然閑適仙境山居
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