酔古堂剣掃 / 集峭・扁舟一葉大いに是れ奇觀
山月江煙,鐵笛數聲,便成清賞;天風海濤,扁舟一葉,大是奇觀。
新字:山月江煙,鉄笛数声,便成清賞;天風海濤,扁舟一葉,大是奇観。
書き下し
山月江煙、鐵笛數聲、便ち清賞を成し;天風海濤、扁舟一葉、大いに是れ奇觀なり。
現代語訳
山の月と川の靄の中で、鉄の笛が数声鳴れば、それだけで清らかな楽しみになります。天を渡る風と海の大波の中に、木の葉のような小舟が一艘浮かべば、それはまことに素晴らしい眺めです。
解説
静かな清らかさと、雄大な奇観とを対にした一則です。江煙は川面に立つ靄、鐵笛は鉄で作った笛で、隠者や道士が吹くものとされ、その澄んだ鋭い音が山水に響くさまが好まれました。清賞は清らかな鑑賞の楽しみです。後半の扁舟一葉は、一枚の葉のように小さな舟で、広大な海と風の中に浮かぶ小舟の対比が、天地の大きさを際立たせます。前半は小さく静かな音の美、後半は大きく激しい景の美で、どちらも心を洗い広げてくれるものです。日常の中でも、静かな夜の音楽と、広い海や空を眺めるひとときの両方を、心の栄養として持っていたいものです。
この章句が説くこと
自然清賞山水風雅閑適
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