酔古堂剣掃 / 集素・竹冠蘭佩、物色俱に閒なり
溪響松聲,清聽自遠;竹冠蘭佩,物色俱閒。
新字:渓響松声,清聴自遠;竹冠蘭佩,物色倶閒。
書き下し
溪響松聲、清聽自ら遠し。 竹冠蘭佩、物色俱に閒なり。
現代語訳
谷川の響きや松風の音は、清らかに聞こえておのずと遠くまで届きます。竹の皮の冠と蘭の帯飾りと、身の回りの物の姿までがともにのどかです。
解説
耳に聞こえるものと身に着けるものの両方で、閑かな暮らしを描いた対句です。渓響は谷川の水音、松声は松の枝を渡る風の音で、どちらも隠者の住まいを象徴する音です。清聴はそれを澄んだ耳で聞くことです。竹冠は竹の皮で作った冠で、漢の高祖劉邦が若いころに用いたという話が伝わります。蘭佩は蘭を帯に下げることで、『楚辞』離騒で屈原が秋蘭を紐にして佩びたとうたったことに由来する、高潔さの象徴です。物色は物の姿や様子です。身の回りを素朴で清らかなもので整えると、心まで閑かになるという実感が込められています。
この章句が説くこと
閑適自然隠逸風雅清貧
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