酔古堂剣掃 / 集素・煩惱何處に從りてか身を安んぜん
塵緣割斷,煩惱從何處安身;世慮潛消,清虛向此中立腳。
新字:塵縁割断,煩悩従何処安身;世慮潜消,清虚向此中立脚。
書き下し
塵緣割斷すれば、煩惱何處に從りてか身を安んぜん。 世慮潛かに消ゆれば、清虛此の中に向かひて腳を立つ。
現代語訳
俗世の縁を断ち切れば、煩悩はいったいどこに身を置くことができるでしょうか。世間の心配ごとがひそかに消えていけば、清らかでとらわれのない心がそこに足場を築きます。
解説
俗縁を断つことで、心の中に何が起こるかを述べた対句です。塵縁は俗世の煩わしい縁、安身は身を落ち着ける場所のことです。煩悩はもともと俗世の縁にすがって生きているので、その縁を断てば居場所を失うと言います。後半の世慮は世間への心配、清虚は清らかでとらわれのない心で、道家や仏教で理想とされる境地です。立脚は足場を築くことです。煩悩を追い出そうと力むのではなく、その足場を取り払えば自然に消え、空いた場所に清らかな心が住みつくという発想が見事です。悩みの種そのものと戦うより、悩みを生む関わりを整理するほうが早いことを教えてくれます。
この章句が説くこと
煩悩清虚修身仏教無欲
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