酔古堂剣掃 / 集素・閒茶冷飯、何ぞ高致と名づけん
世上有一種癡人,所食閒茶冷飯,何名高致。
新字:世上有一種痴人,所食閒茶冷飯,何名高致。
書き下し
世上に一種の癡人有り、食ふ所は閒茶冷飯なり、何ぞ高致と名づけん。
現代語訳
世の中には一種の愚か者がいて、口にするのはのんびり淹れた茶と冷めた飯ばかりです。これをどうして高尚な趣などと名づけられましょうか。
解説
短いながら読み方に含みのある一則です。癡人は愚か者ですが、ここでは世の損得に疎く、ひたすら素朴に生きる人を、少し皮肉を込めてそう呼んでいると読めます。閑茶冷飯は、のんびり淹れた茶と冷めた飯で、質素な食事のことです。何名高致は、これを高雅な趣と呼べようかという反語です。ただ、本人は高尚ぶるつもりなど少しもなく、ただ淡々とそう暮らしているだけだ、と読むこともできます。清貧を看板にすれば、それはもう清貧ではありません。飾らない暮らしは、名づけず誇らずに続けてこそ本物だと考えさせる句です。
この章句が説くこと
清貧素朴謙虚飲食自然体
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