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酔古堂剣掃 / 集素・只だ合に門を杜づべし

覆雨翻雲何險也,論人情,只合杜門;吟風弄月忽頹然,全天真,且須對酒。

新字:覆雨翻雲何険也,論人情,只合杜門;吟風弄月忽頽然,全天真,且須対酒。

書き下し

雨を覆し雲を翻す、何ぞ險しきや、人情を論ずれば、只だ合に門を杜づべし。 風に吟じ月を弄して忽ち頹然たり、天真を全うせんには、且く須らく酒に對すべし。

現代語訳

手のひらを返せば雲となり、返せば雨となるように、なんと険しい変わりようでしょうか。人の情けというものを論じるなら、ただ門を閉ざして引きこもるのがよいのです。風に詩を吟じ月をもてあそんで、いつのまにか酔いつぶれます。生まれつきの純真さを保つには、しばらく酒に向き合うのがよいでしょう。

解説

人情の移ろいやすさを嘆き、閉居と酒に逃れる心境を詠んだ一則です。覆雨翻雲は、唐の杜甫の詩「貧交行」の、手を翻せば雲となり手を覆せば雨となるという句に基づき、人の態度がころころ変わることを言います。杜門は門を閉ざして人と交わらないことです。頽然は酔ってぐったりするさま、天真は生まれつきの飾り気のない心です。人間関係に疲れたとき、無理に付き合いを広げず、しばらく距離を置いて自分を取り戻すことも必要です。ただ、酒に頼りすぎないことは現代の私たちには大切な注意でしょう。
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この章句が説くこと

人情処世隠逸天真酒

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