酔古堂剣掃 / 集素・泉石煙霞の主と作る
為市井草莽之臣,早輸國課;作泉石煙霞之主,日遠俗情。
新字:為市井草莽之臣,早輸国課;作泉石煙霞之主,日遠俗情。
書き下し
市井草莽の臣と為りては、早く國課を輸す。 泉石煙霞の主と作りては、日に俗情に遠ざかる。
現代語訳
町や野に住む庶民としては、早めに国の税を納めます。泉や岩、もやや霞といった自然の主となっては、日ごとに俗な思いから遠ざかっていきます。
解説
民としての義務と、隠者としての楽しみを対にした一則です。市井草莽の臣は、『孟子』万章下に、国都にいる者を市井の臣、野にいる者を草莽の臣と言うとあるのに基づき、官職に就いていない庶民を指します。国課は国に納める税です。泉石煙霞は山水の自然の景色のことです。税を早く納めて役人に煩わされないようにし、そのうえで自然の中で俗情を遠ざけるという、隠者の現実的な知恵が見えます。やるべき手続きや支払いを先に済ませておくと、心おきなく自分の時間を楽しめるものです。
この章句が説くこと
処世隠逸自然義務清貧
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