酔古堂剣掃 / 集醒・山中の宰相を識るを要す
雖無泉石膏肓、煙霞痼疾,要識山中宰相、天際真人。
書き下し
泉石の膏肓、煙霞の痼疾無しと雖も、山中の宰相、天際の真人を識るを要す。
現代語訳
山水を愛して治らない病のようになるほどではなくても、山中の宰相や天の果ての真人のような人物のことは、知っておく必要があります。
解説
自然を愛しすぎるほどではなくても、隠逸の人の生き方は知っておくべきだと説く一則です。泉石膏肓、煙霞痼疾は、唐の隠者田游巌が高宗に、自分は山水を愛する病が骨の髄まで達していると答えた言葉です。山中の宰相は、梁の陶弘景のことで、山に隠れ住みながら武帝から国の大事を相談され、そう呼ばれました。天際の真人は、世俗を超えた仙人のような人物です。誰もが山に隠れて暮らすことはできませんが、そういう生き方があると知っているだけで、世の栄達にとらわれた心が少し軽くなります。仕事に追われる毎日の中でも、別の生き方をした先人の姿を心に置いておくことは、自分を相対化する助けになるでしょう。
この章句が説くこと
隠逸自然山水閑適人物
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