酔古堂剣掃 / 集素・安步以て車に當つ
無事以當貴,早寢以當富,安步以當車,晚食以當肉;此巧於處貧矣。
新字:無事以当貴,早寝以当富,安歩以当車,晩食以当肉;此巧於処貧矣。
書き下し
無事以て貴に當て、早寢以て富に當て、安步以て車に當て、晚食以て肉に當つ。 此れ貧に處するに巧みなり。
現代語訳
何事もないことを高い身分の代わりとし、早く寝ることを富の代わりとし、ゆったり歩くことを車の代わりとし、腹が減ってから食べることを肉の代わりとします。これは貧しさの中で暮らすことに巧みなやり方です。
解説
貧しさを楽しむ工夫を四つの言い換えで示した一則です。安歩以て車に当て、晩食以て肉に当つという句は、『戦国策』斉策で、隠者の顔斶が斉の宣王の招きを断るときに語った言葉として知られています。お腹がすいてから食べれば粗食も肉のようにおいしく、ゆっくり歩けば車に乗るのと変わらないという発想の転換です。無事と早寝もまた、平穏と健康こそが貴さと富に当たるという意味です。持っていないものを数えるより、今あるものの価値を言い換えて味わう知恵は、物価高の暮らしにも役立つでしょう。
この章句が説くこと
清貧知足養生処世倹約
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