酔古堂剣掃 / 集峭・英華を咀みて以て肉に當つ
少言語以當貴,多著述以當富,載清名以當車,咀英華以當肉。
新字:少言語以当貴,多著述以当富,載清名以当車,咀英華以当肉。
書き下し
言語を少なくして以て貴に當て、著述を多くして以て富に當て、清名を載せて以て車に當て、英華を咀みて以て肉に當つ。
現代語訳
口数を少なくすることを高い身分の代わりとし、多く書き著すことを富の代わりとし、清らかな名を載せることを車の代わりとし、優れた文章を味わうことを肉の代わりとします。
解説
地位や富、車や肉といった世俗の豊かさを、精神の豊かさで置き換えた四句です。『戦国策』で斉の隠士顔斶が「晩く食べて肉に当て、ゆっくり歩いて車に当て、罪の無いことを貴に当てる」と言って王の招きを断った話を下敷きにしているとみられます。當は「〜の代わりとする、〜に見立てる」という意味です。英華は花のように優れた言葉や文章で、咀むとは繰り返し味わうことです。言葉を慎めば人から重んじられ、書き残したものは財となり、清い評判は自分を運び、良い文章は心を養う、という読書人の理想の暮らし方です。持たないものを嘆くより、自分なりの豊かさの尺度を持つことの大切さを教えてくれます。
この章句が説くこと
清貧読書寡黙著述処世
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