酔古堂剣掃 / 集素・風花雪月は窮まり無し
莫戀浮名,夢幻泡影有限;且尋樂事,風花雪月無窮。
新字:莫恋浮名,夢幻泡影有限;且尋楽事,風花雪月無窮。
書き下し
浮名を戀ふる莫かれ、夢幻泡影は限り有り。 且く樂事を尋ねよ、風花雪月は窮まり無し。
現代語訳
はかない名声に執着してはいけません。夢や幻や泡や影のようなものには限りがあります。まずは楽しいことを探しなさい。風や花や雪や月の趣には、尽きることがありません。
解説
名声と自然の楽しみを対比した一則です。浮名はうわべだけの、はかない名声のことです。夢幻泡影は『金剛般若経』の結びの偈に、この世の現象はすべて夢や幻や泡や影のようだと説かれることに由来し、はかないものの代表です。これに対して風花雪月は、四季の自然の美しさを表す言葉で、いつでも誰にでも開かれた楽しみです。限りがあるものを追うより、窮まりのないものを楽しめという主張です。評価や肩書きに気を取られがちなときこそ、身近な季節の美しさを味わう心の余裕を持ちたいものです。
この章句が説くこと
名利自然閑適無常風雅
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