酔古堂剣掃 / 集靈・忙中の閒、閒中の忙
舞蝶游蜂,忙中之閒,閒中之忙;落花飛絮,景中之情,情中之景。
書き下し
舞蝶游蜂は、忙中の閒、閒中の忙。 落花飛絮は、景中の情、情中の景。
現代語訳
舞う蝶や飛び回る蜂は、忙しさの中の暇であり、暇の中の忙しさです。散る花や飛ぶ柳の綿は、景色の中の情であり、情の中の景色です。
解説
春の小さな生き物と風物に、相反するものが溶け合う姿を見た対句です。蝶や蜂は花から花へせわしなく飛びますが、その姿はどこかのどかでもあります。忙と閑が表裏一体になっているのです。飛絮は柳の種についた綿毛で、春の終わりに風に舞います。散る花や綿毛は眼前の景色でありながら、見る人の惜春の情を映し出しています。景と情が分かちがたく結びつくことは、漢詩の要とされてきました。忙しさの中にも心のゆとりは持てるし、見る心しだいで景色は意味を帯びる。見方ひとつで日常が変わることを教えてくれます。
この章句が説くこと
閑適風雅自然情景春
関連する章句
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『酔古堂剣掃』集素・寂寞たる衡茆に燕の寢ぬるを觀る芳菲の林圃に蜂の忙しきを看て、幾多の塵情世態を覷破す。 寂寞たる衡茆に燕の寢ぬるを觀て、一種の冷趣幽思を發起す。
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『酔古堂剣掃』集素・閒かに落花を掃へば人の懷ひを散ず林泉の滸、風萬點を飄へし、清露晨に流れ、新桐初めて引く。 蕭然として事無く、閒かに落花を掃へば、人の懷ひを散ずるに足る。
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『酔古堂剣掃』集景・飛花の窗を度るを玩ぶ飛花の窗を度るを玩び、春風の柳に入るを看る、忽ち翔飛して暫く隱れ、時に空を淩ぎて更に飏る。
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『酔古堂剣掃』集倩・一花散じて峰明らかなり才かに力有りて以て蝶に勝へ、本心無くして鶯を引く。 半葉舒びて巖暗く、一花散じて峰明らかなり。
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『酔古堂剣掃』集情・鳥は紅雨に沾ふ蝶は香風に憩ひて、尚ほ芳夢多く、鳥は紅雨に沾ひて、嬌啼に任へず。