酔古堂剣掃 / 集靈・外は世を厭ふも未だ世を離るる能はず
意慕古,先存古,未敢反古;心持世,外厭世,未能離世。
書き下し
意古を慕ふも、先づ古を存し、未だ敢へて古に反らず。 心世を持するも、外は世を厭ひ、未だ世を離るる能はず。
現代語訳
心は古を慕っていますが、まずは古のものを大切に保つにとどめ、古の世にそのまま立ち返ろうとまではしません。心では世の中を支えようと思い、外面では世を厭うように見えても、世を離れ切ることはできません。
解説
古への憧れと現実、世を厭う気持ちと世への責任との間で揺れる心を、正直に描いた対句です。前半は、古の道を慕いながらも、いきなり昔に戻ろうとするのではなく、まず古いものを保ち伝えることから始めるという慎みを語ります。後半の持世は世を支え保つことで、世をうとましく思いつつも、結局は世の中から離れられない自分を見つめています。理想と現実の間で割り切れない思いは、誰もが抱えるものです。極端に振れず、その中間で自分にできることを続ける姿勢に、かえって誠実さを感じさせる一則です。
この章句が説くこと
処世中庸隠逸尚古葛藤
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