酔古堂剣掃 / 集靈・無定河邊破鏡の愁ひ
賀蘭山外虛兮怨,無定河邊破鏡愁。
新字:賀蘭山外虚兮怨,無定河辺破鏡愁。
書き下し
賀蘭山外虛兮として怨み、無定河邊破鏡に愁ふ。
現代語訳
賀蘭山の向こうでは、むなしく恨みを抱き、無定河のほとりでは、割れた鏡のように引き裂かれた夫婦の悲しみに沈みます。
解説
辺境に出征した夫と、残された妻の悲しみを詠んだ対句です。賀蘭山と無定河は、どちらも北方の辺境の地名で、戦の場として知られました。無定河は、唐の陳陶の詩に、憐れむべし無定河辺の骨、猶ほ是れ春閨夢裏の人、とあるように、戦死した夫を妻がまだ夢に見ている悲劇の舞台です。破鏡は、陳の徐徳言と楽昌公主が国の滅亡で離ればなれになるとき、鏡を割って半分ずつ持ち、再会の証としたという話で、夫婦の別離をいいます。虛兮の二字は意味がとりにくく、写しの誤りの疑いもありますが、むなしい恨みの意にとりました。戦争が引き裂く家族の悲しみは、今も変わりません。
この章句が説くこと
別離戦争夫婦情故事
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