孫子 / 作戦篇
近師者貴賣,貴賣則百姓財竭,財竭則急於丘役。
新字:近師者貴売,貴売則百姓財竭,財竭則急於丘役。
書き下し
師に近き者は貴く売る。貴く売れば則ち百姓財竭き、財竭くれば則ち丘役に急なり。
現代語訳
軍隊の近くでは物価が高騰する。物価が高騰すれば民の財産は尽き、財産が尽きれば労役や徴発の取り立てが厳しくなる。
解説
戦争が民の暮らしを壊していく過程を、三段の連鎖で描いている。物価高騰、財産の枯渇、そして取り立ての強化。取り立てが厳しくなるのは、財産が尽きて税が入らなくなるからだ。つまり最後の一段は、前の二段の結果として起きる悪循環である。この連鎖の書き方が実務的なのは、原因と結果を一直線に並べているからだ。物価が上がる理由も、取り立てが厳しくなる理由も説明されている。組織の疲弊も同じように連鎖する。無理な受注が現場の残業を生み、残業が離職を生み、離職が残った人の負担を増やす。どの段階も個別には対処できるように見えるが、連鎖として捉えないと、対症療法を繰り返すことになる。孫子が戦の記述の中に民の家計を書き込んでいることの意味は大きい。
この章句が説くこと
物価戦争消耗悪循環民連鎖
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