酔古堂剣掃 / 集靈・此の身水晶宮裏に在るが如し
秋月當天,纖雲都淨,露坐空闊去處,清光冷浸,此身如在水晶宮裏,令人心膽澄澈。
新字:秋月当天,繊雲都浄,露坐空闊去処,清光冷浸,此身如在水晶宮裏,令人心胆澄澈。
書き下し
秋月天に當り、纖雲都て淨し、空闊なる去處に露坐すれば、清光冷やかに浸し、此の身水晶宮裏に在るが如く、人をして心膽澄澈ならしむ。
現代語訳
秋の月が空の真ん中にかかり、薄い雲もすっかり晴れています。広々とした所で夜露の中に座っていると、清らかな光がひんやりと身にしみ、まるでこの身が水晶の宮殿の中にいるようで、心も肝も澄みわたります。
解説
秋の月夜に屋外で座る情景を描き、心が澄む感覚を伝えた一則です。纖雲は細く薄い雲、露坐は屋根のない所に座ることで、去處は場所を表す口語です。月の光に全身が浸される様子を、水晶宮の中にいるようだとたとえています。心膽は心と肝で、胸の奥までという意味合いです。景色を見るだけでなく、光や冷たさを肌で感じることで、心が洗われるように澄んでいくのです。夜空を見上げる機会の少ない今こそ、明かりを消して月の光の中にしばらく座ってみると、忙しい頭が静まる時間になるでしょう。
この章句が説くこと
自然閑適月心境風雅
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