酔古堂剣掃 / 集靈・寵辱驚かざれば肝木自ら寧し
寵辱不驚,肝木自寧;動靜以敬,心火自定;飲食有節,脾土不洩;調息寡言,肺金自全;怡神寡欲,腎水自足。
新字:寵辱不驚,肝木自寧;動静以敬,心火自定;飲食有節,脾土不洩;調息寡言,肺金自全;怡神寡欲,腎水自足。
書き下し
寵辱驚かざれば、肝木自ら寧し。動靜敬を以てすれば、心火自ら定まる。飲食節有れば、脾土洩れず。息を調へ言を寡なくすれば、肺金自ら全し。神を怡ばせ欲を寡なくすれば、腎水自ら足る。
現代語訳
寵愛にも屈辱にも動じなければ、肝の木気はおのずと安らぎます。動くときも静かなときも慎みを保てば、心の火気はおのずと落ち着きます。飲み食いに節度があれば、脾の土気は漏れ出ません。呼吸を整え口数を少なくすれば、肺の金気はおのずと保たれます。心を楽しませ欲を少なくすれば、腎の水気はおのずと満ちます。
解説
心の持ち方と五臓の健康を結びつけた、養生の一則です。中国の伝統医学では、肝・心・脾・肺・腎の五臓を、木・火・土・金・水の五行に当てはめて考えました。寵辱不驚は老子にも見える考えで、ほめられても辱められても動じないことが、怒りと関わる肝を安らかにすると言います。慎みは心を、節度ある食事は胃腸をつかさどる脾を、呼吸と寡黙は肺を、欲の少なさは生命力の源とされた腎を守るというのです。心の乱れが体をむしばむという見方は、今のストレスと体調の関係にも通じます。体をいたわるには、食事や運動だけでなく、心の持ち方を整えることも欠かせません。
この章句が説くこと
養生摂生五行心身節制
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