酔古堂剣掃 / 集靈・二更山寺の木魚の聲
破除煩惱,二更山寺木魚聲;見徹性靈,一點雲堂優缽影。
新字:破除煩悩,二更山寺木魚声;見徹性霊,一点雲堂優鉢影。
書き下し
煩惱を破除するは、二更山寺の木魚の聲。性靈を見徹するは、一點雲堂の優缽の影。
現代語訳
煩悩を打ち破るのは、夜更けの山寺に響く木魚の音です。本来の心を見通すのは、僧堂にぽつりと映る青い蓮の花の影です。
解説
仏道の二つの場面を、音と影で描いた対句です。二更は夜のおよそ九時から十一時ごろ、木魚は読経の拍子を取るために打つ魚の形の法具です。静まり返った夜の山寺に響く木魚の音は、雑念を一つずつ打ち払っていくように聞こえます。性靈は人がもともと持っている霊妙な心、雲堂は修行僧が集まる僧堂です。優缽は優缽羅のことで、仏典で清らかさの象徴とされる青い蓮です。煩悩を払うことと本性を見ることを、耳と目の体験に置き換えているところに味わいがあります。一定のリズムの音や静かな光が、散らかった心を整えてくれることは、今の私たちにも覚えがあります。
この章句が説くこと
仏教煩悩禅心境清浄
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