酔古堂剣掃 / 集靈・八韻の新詩を成さずんば
客散門扃,風微日落,碧月皎皎當空,花陰徐徐滿地;近簷鳥宿,遠寺鐘鳴,荼鐺初熟,酒甕乍開;不成八韻新詩,畢竟一個俗氣。
新字:客散門扃,風微日落,碧月皎皎当空,花陰徐徐満地;近簷鳥宿,遠寺鐘鳴,荼鐺初熟,酒甕乍開;不成八韻新詩,畢竟一個俗気。
書き下し
客散じ門扃し、風微かに日落つ、碧月皎皎として空に當り、花陰徐徐として地に滿つ。簷に近くして鳥宿り、遠寺に鐘鳴る、荼鐺初めて熟し、酒甕乍ち開く。八韻の新詩を成さずんば、畢竟一個の俗氣なり。
現代語訳
客が帰って門を閉ざし、風はかすかに日が沈みます。青い月が明るく空に浮かび、花の影がゆっくりと地面に満ちていきます。軒近くには鳥がねぐらに就き、遠くの寺で鐘が鳴ります。茶釜の湯がちょうど沸き、酒甕も開けたところです。この時に八韻の新しい詩を作らないのなら、結局はただの俗物にすぎません。
解説
夕暮れから月夜へ移るひとときの情景を重ね、最後に詩を作らねば俗物だと結んだ一則です。扃は門を閉めること、荼鐺は茶を煮る小さな釜で、荼は茶の古い字形です。八韻の詩は韻を八つ踏む、かなり長さのある詩です。これほど整った景色と道具がそろっているのに、ただ眺めて過ごすのはもったいないという、文人の美意識が表れています。美しいものを受け取るだけでなく、自分の言葉で何かを返すことで、その時間は本当に自分のものになります。写真を撮るだけで終わらせず、一言でも感じたことを書き留める習慣にも通じます。
この章句が説くこと
風雅閑適詩月夜自然
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