酔古堂剣掃 / 集靈・醉へば則ち更に相枕藉して臥す
上高山,入深林,窮回溪,幽泉怪石,無遠不到;到則拂草而坐,傾壺而醉,醉則更相枕藉以臥,意亦甚適,夢亦同趣。
新字:上高山,入深林,窮回渓,幽泉怪石,無遠不到;到則払草而坐,傾壺而酔,酔則更相枕藉以臥,意亦甚適,夢亦同趣。
書き下し
高山に上り、深林に入り、回溪を窮め、幽泉怪石、遠くして到らざる無し。到れば則ち草を拂ひて坐し、壺を傾けて醉ふ、醉へば則ち更に相枕藉して臥す、意も亦甚だ適ひ、夢も亦趣を同じうす。
現代語訳
高い山に登り、深い林に入り、曲がりくねった谷川を奥まで行き、ひっそりした泉や奇妙な岩があれば、どんなに遠くても行かない所はありませんでした。着けば草を払って座り、壺を傾けて酔い、酔えばたがいに体を枕にして寝ころびました。心もたいへん満ち足りて、夢までも同じ趣でした。
解説
唐の柳宗元の始得西山宴遊記の一節を、ほぼそのまま採った一則です。柳宗元は永州に左遷されたのち、仲間と山水を歩き回り、酒を飲んで寝ころぶ日々を送りました。回溪は曲がりくねった谷川、枕藉はたがいに寄りかかって寝ることです。心も夢も同じ趣になるという結びに、自然と一体になった満足が表れています。左遷の憂さを山水で晴らしたという背景を知ると、この気ままさには悲しみも潜んでいることがわかります。つらい時期にこそ、遠くの自然に足を運び、仲間と気兼ねなく過ごす時間が心を支えてくれます。
この章句が説くこと
山水自然閑適交友遊楽
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